インタビュー|ジュークアンリミテッド株式会社


03

ジュークアンリミテッド 株式会社(ブランディング、デザイン)

岩手県盛岡市

ブレストができてショールームになる魅せるオフィス


移転のきっかけを教えてください

 2018年5月に創業しました。創業時は私を含めて4名で、事務所利用可能なワンルームマンションの一室で会社を始めました。しかし、予想以上に来客が多く業務に集中しにくいと感じました。事業計画や数字が入った書類や掲示物がたくさんある中で、色々な方が出入りするのが嫌で。毎回掲示物を剥がしてクローゼットの裏に貼ったりしてました(笑)。あと来客とミーティングが被るとミーティングやテレビ会議をキッチンでやったりとか(笑)。これは会社ができたばかりなので贅沢は言えないのでいいのですが、その後スタッフが増えて流石にもう六畳一間では手狭になり移転を決めました。

 普段からブレストをすることが多く、移転するならいつでもどこでもさっと会話ができてアイディアが形になりやすい空間を希望しました。事業の1つに空間デザインもあるので、規模は小さくても「こんな考え方だから、こうゆう空間デザインですよ」とクライアントに説明できるショールームとしての役割も持たせたかったです。

代表取締役社長/DEO(Design executive officer)の加藤 瑞紀さん
ホワイトボードは頭の中を見える化するツールのひとつ。アイディアを書き出すことで頭の中も整理整頓。ブレストには欠かせないアイテム。

完成するまでの不安はありましたか?率直なご意見を聞かせてください。

 不安も不満もなかったです。私にとって新オフィスがどんな役割があって、クライアントを呼んだ時に会社の方針や事業になぞらえてこんな説明がしたい、というのを柿澤さんに伝えていたので上手に形にしてくれました。起業してすぐなのでコストもあまりかけらない中、抜くところは抜く、でもここは譲れません、とハッキリと言ってくれるので腑に落ちました。

 同市内なので現場をちょこちょこ見に行ったりもしていて、着々と出来上がる空間にワクワクして完成が待ちきれない!という感じでした。

奥にあるメインオフィス部分。デザイン会社は資料や本、サンプルが多い。あらかじめどれだけ増えそうかを洗い出し、収納ボックスや本はスッキリと見せる収納に。
1975年に建てられたレトロなマンションの一室。

本社移転でもあるわけですがスタッフの反応や変化はいかがですか?

 まずはスタッフのテンションとやる気が明らかに上がったことですね。創業期にあえてコストをかけてオフィスを作ったので、これは自分たちへの投資として、かかった費用は全てスタッフに伝えています。ベンチャーならではの、全員が必死に汗水垂らして駆け抜ける時期なので、数字をオープンにすることで全員が会社に対して自分ごとになり、結束力が更に強まりました。

サブオフィス×ダイニングキッチン。ランチに利用したり、ミーティング、テレビ会議、来客対応、セミナールームとマルチスペースとして活用。
ベンチャーらしくできることは自分達でやる!入居前のクリーニングはスタッフ総出で。みんなで同じことをすることがコミュケーションに。

オープン本社としてどのように活用していきたいですか?

 当初の狙い通りクライアントを呼べる空間を手に入れたのでブランディングの契約に効果が出ました。コンサルティング契約は中小企業にとって決して安くない決断です。私がクライアントの会社を知るだけじゃなく、当社のことも知って欲しい。その上で、この会社にならお願いできるな、と納得して契約して頂きたいです。商品や技術のように分かりやすく形になっていないものを取り扱っているので、互いの「理解」「納得」を重要視しています。わざわざ、広島から岩手まで来ていただいたクライアントもいて「呼べる・見せられる」というのは当社にとって大きなアドバンテージになっています。

 来春からは新卒採用を開始する予定で、インターンの受け入れ準備も進めています。建設業出身の私たちは、考えられた空間は採用や自社PR、営業にとても効果があることを体感しています。採用ルールが崩れ、大手企業と人の取合いが激化する中でも中小企業だって戦う術があるはずです。その1つとして空間が人材確保に効果があることを実証していきたいです。また、階段型に作った空間に座ってもらってカジュアルに楽しんでもらうブランディングセミナーなんかも徐々にスタートさせていく予定です。

 

独自の制度「コムパン9」はカンパニーの語源「一緒に(com)パン(pan)を食べる」からきている。毎月9日はスタッフみんなで食事を作って食卓を囲みます。空間の使い方と社風を見せることで、会社PRにも繋がる。

編集後記

 どう働き、そこで何をしたいのか?加えて、会社の魅せ方に至るまで加藤さんの明確なビジョンをオフィスデザインに落とし込むことが私のミッションでした。与えられた課題は、経営者の頭の中にあるビジョンの見える化に加え、シンプルかつ実用美であること。そしてコストを抑えること。加藤さんとは同じデザイナー同士、デザインに対して互いに厳しい視点とこだわりがあり着地点をどこにするか、正直萌えました(笑)。

 今、オフィスでは加藤さんのビジョン通りブレストは習慣化しています。アイディアが浮かぶとおもむろにホワイトボードに書込み、ふらりと通りかかったスタッフが足を止め、気がつくとブレストが始まっていることもあります。規模の大小は関係なく、ビジョンを見える化し空間にデザインとして落とし込むことで働き方や意識まで変えてしまいます。デザイナーならではの視点で作られたオフィスをやらせてもらい、改めてデザインは問題解決の手段であり、デザインには人を動かす力があると感じています。

(インタビューアー:柿澤 志保)

私もスタッフとして所属するジュークアンリミテッド。オフィスデザイナーとして全国各地のお客様とテレビ会議をしたり、現地に赴きご提案をしています。小さくても想いが詰まった自慢の当社オフィスです。ぜひ、皆様にも見て欲しいです!

他のインタビューを読む

01

オークス株式会社(キッチンツール企画・販売)

新潟県三条市

うちにとってキッチンはコミュニケーションツール

02

スイコー株式会社(OA機器メーカー)

鳥取県倉吉市

新しい働き方提案はユニークなコーワーキングスペースから

04

株式会社小田島組(建設業)

岩手県北上市

右肩上がりのド派手なデザインに込めた決意